ホルマリン液の匂い漂う、ちょっと変わった博物館をご紹介…。※心臓の弱い方、グロテスクな物の苦手な方は見ないでください。
こんにちはバンコクナビです。バンコクからチャオプラヤー川を渡ったトンブリー地区にあるシリラート病院は、「博物館」として有名。ここを訪れる人の多くは、タイの医学生、医学関係者、それからそれから、日本人旅行者! 外国人向けの旅行雑誌には取り上げられていないこの博物館、何故か日本の数社の旅行雑誌で取り上げられているんです。怖いもの見たさの日本人、代表選手としてナビが取材しに行って参りました!
どの記者さんも「行きたくない」と言ったと噂のこの博物館、そんなに怖い所なんでしょうか? ホルマリン漬けの赤ちゃんが置いてある、とかミイラがある、とかの噂は聞いたことがありますが…。私、傷を負って血だらけの写真や、拷問のことについて書かれた記事を読むと血の気が引いてしまいますが、ホルマリン漬けやガイコツなら大丈夫! と意気込んで博物館へと向かいました。
エクスプレス・ボートで10番の船着場、「Wang Lang(Siriraj)」から徒歩すぐのSiriraj(シリラート)病院内。9番の船着場「Tha Chang」からは渡し舟も出ています。病院内にはMuseum の看板がところ所にありますが、分かりにくい時は警備員さんに聞くと指差しで教えてもらえます。
館内を案内してくれたのはnuch(ヌック)さん。高くてとっても可愛らしい声の彼女が案内してくれるなんて、なんだか楽しい取材になりそうです。
Museum of the Dept.of Forensic Medicine
(法医学博物館:シーウィー博物館)
初めに案内してもらったのはこの法医学博物館。何かの犯罪や事故に関わり、法医学による鑑定が必要だった遺体が展示されています。ここは、別名「シーウィー博物館」。なぜこの別名がついたかというと、その答えは ジャン! このミイラのおじさんがいるからです。
この人の名前はシーウィー。何らかの精神障害を持っていて、1950年代の数年間で5人の幼児を殺害し、不老長寿のために臓器を食べていたという、凶悪犯罪者のミイラです。この犯罪に対して裁判所は彼に「死刑にした後も供養する価値はない」と判決を下し、永久にさらし者にする方法を選んだそうです。
ミイラを見るのは初めてですが、想像していたようなオドロオドロしいものではなく、「これ本物ですか?」と聞いてしまったくらい。彼女は元気に「yes!」。 ふーん、と思いつつ足元に目を移すと、ひぃ! 足元に白い液体が出てますけど! リアル! 彼女に告げると、「ああ、それは薬の関係でね…」とさらりと答えてくれました。さすが、解剖学に携わる人は違います。
こちらも大変有名(?)な方で、「拳銃で頭を撃ちぬかれた頭部」さんです。弾丸を受けた所からきれいに真っ二つに切断されております。内部をよーく観察すると、弾丸がどの辺までめり込んだのかがわかるようになっているんですねぇ~。ナビも、ヌックさんに負けてられません、じっくり見て周りますよ!
「これが有名なシャム双生児でぇす♪」とヌックさん。楽しそうですね…。一つの内臓を共有した無数の赤ちゃん・胎児の標本が数体。液体に浮かんだその標本は全く怖さを感じませんでした。おもちゃやお金がお供えしてある標本があるところを見ると、私と同じように怖さとは別のものを感じるビジターがたくさんいるのでしょう。
おおっと、これはちょっと気持ちが悪い。毛むくじゃらの太い足が、デーン!と置かれています。ほとんどの標本はつるりとしていて、血なまぐささと言うかリアリティーを感じないなぁ~というのがここまで見た感想でしたが、こういうのはパスですね…。早く通り過ぎよう。
ひょえ~ッ!このでっかい赤ちゃん、こっち見てる! これは赤ちゃんと言えどもキツイですよ~。でもどうして頭を切られているの? 気になったので、ちょっとヌックさんに質問…しかし後悔。彼女は「うーん、これはね、脳が生まれつき発達していなかった子なのよね。ほら、上から見たらわかるわ! 」と言って頭部に顔を近づけてまじまじと眺めた後で、私の手を引くではないですか! 私が見てもわかんないよ~。
Parasitology Museum(パラサイトロジー ミュージアム=寄生虫博物館)
「Welcome to “Parasitology museum”!!」と、ノリノリの彼女に連れられ、この博物館へ入館。始めは「パラサイトってなんだっけ…?」と思っていた私も、すぐに理解致しました。 ここは寄生虫の博物館、あの有名なサルモネラ菌や赤痢菌なんかの標本がズラリ、さらにその菌に冒された人の写真がズラリです。
ハイッ、まずはこちらの写真をご覧いただきましょう。ヌックさんもお勧めのこの一枚、これが寄生虫に冒された末の姿です! もう、言葉もありませんね…。
こちらは、本物の寄生虫だけを取り除いたもの。この長~~い虫が体内に…なんて考えただけでゾワァァァァ・・・後ろに見えるタケノコのような物体、もしかしてこれも寄生虫!? こんなのどうやって体に入るって言うのー!
「ねぇ、これ何だかわかる!? 」とヌックさんが楽しげにクイズを出してくれたのが、腫れた睾丸を持つ男性の写真。そのすぐ隣にあるのがこの人形です。こちらはミイラではないのでご安心を。良く出来た人形です。左側の男性は足を、右側の男性はなんと睾丸を寄生虫に冒されています。この症状は一昔前、タイの貧しい国でよく見られたそう。
Congdon Anaomical Museum(解剖学博物館)
別棟にあるこの博物館は、ヌックさんも尊敬するタイ現代解剖学の父、コンドン教授の研究室を公開した博物館です。神経系、消火器などの内臓・病理標本の他、シャム双生児や水頭症の子供などのホルマリン漬け遺体が置かれています。
博物館の入り口では、この3枚におろされたホルマリン漬け標本がお出迎え。もうこれくらいでは驚きません。よく見ると館内はほとんどが女性! やはりこういうことに関しては女性の方が強いのですね。
理科室でお馴染み、ガイコツさん。初級者向けの標本ですね。ヌックさんのような超上級者レベルになると隣にピッタリ寄り添い、「この人は女の人。タイ女性のポピュラーなサイズの標本ね。この人はバスケット選手! 2m20cmもあるの。この大きな手を見てっ。」と言ってガイコツの手を取らんばかりでした…。
これはヒトの神経系だけを取り除き、標本にしてあります。この隣には筋肉の表面が見えるように皮膚を取り除かれた標本、動脈だけを取り除いた標本があります。技術のレベルの高さは良くわかりますが、何と言うか…正直、不気味です。
水頭症の子供の標本。水頭症がこういう症状だと初めて知りました。この子は6歳~7歳だそう。小さい室内の中で、何故か存在感の大きい標本でした。
一通りの博物館を見終えて部屋を後にし、ヌックさんと話をしながら船着場へと向かいました。
同じ年の私たちは何だか仲良くなり、メールアドレスまで交換して、手を振って別れたのでした。明るい彼女のおかげで楽しく(?)過ごせたちょっと変わった博物館、興味のある方、それ系の好きな方は是非どうぞ。