高さ21メートルの巨大ブランコ「サオ・チン・チャー」と黄金大仏 ラーマ1世の時代に建立された王室寺院 ワットスタット
サワディカップ バンコクナビです。ナビが日本に住んでいたころ、鎌倉、奈良といったお寺が多くあるところへ結構遊びに行きました。目的は当然「大仏見学」で、自分も含め「日本人は大仏好きだなあ」と思ったものでした。ここバンコクにも数多くのお寺があって、沢山の大仏を見かけることができますが、このお寺の大仏はタイの王様との縁が深い大仏です。またお寺の前には「サオ・チン・チャー」と呼ばれる赤い鳥居のような巨大ブランコもあって、歴史を知ると結構興味深いお寺です。それではお寺の解説も含めながら見てみましょう。
サオ・チン・チャー
ワットスタット正面にそびえたつ赤い鳥居のようなものは「サオ・チン・チャー」と呼ばれる巨大ブランコです。昔はこのブランコに6本のロープを掛け小船を吊るし、4人の司祭が乗ってロープが地面と水平になるまで揺らす行事が毎年旧暦の2月に行われていたのですが、あまりの高さに司祭が落下死する事故が続いたため、1935年以降、行事は中止となってしまいました。安全対策をしっかりとった上で、是非復活させて欲しい行司です。
塀を壊して大仏搬入
1807年、当時の王様ラマ1世は遷都した首都バンコクに大仏を置こうとワットスタットの建設を開始しました。正式名称は「ワットスタットテープ・ワララーム」という長い名前が付いていますが一般的にはワットスタットと呼ばれています。ラマ1世は15世紀のタイの首都、スコータイに安置されていた「シーサーカヤームニー」という当時最大の大仏を筏に乗せてワットスタット搬入しようとしましたが、大仏が巨大過ぎて寺院の門をくぐることができず、一旦城壁を壊して大仏を搬入し、その苦労がもとで崩御されたという話が伝わっています。また外部の回廊には100体を越える金色の仏像がお寺を取り巻いています。
礼拝堂
門を入って正面が礼拝堂で、大仏はここに安置されています。台座の高さが4メートル以上、幅が6メートル高さが7メートル近い金色の大仏は涼しげに下界を見下ろしています。
横も後ろも見れます
大仏は正面からは見ることができますが、意外と横や後ろは見れないようになっているのが普通です。しかしワットスタットの大仏は横から後ろまで360度、拝謁することが可能です。正面には祭壇があるため、あまり近寄ることができないようになっていますが、横や後ろは直ぐ真近でみることができますので、台座の彫刻などを見るには最適です。近寄って見れば見るほど、細かい細工が全面に施され、タイ人の信仰心の厚さを垣間見ることができます。
内部の壁画
アップにしてみました
内部には天井に至るまで壁画が描かれており、当時の生活様式、都の様子などが描かれています。しかもそれが天井まで続いている1枚画なので、長い時間見ていると首が痛くなってしまうほど、天井はビル4階に匹敵するほどの高さがありますので、双眼鏡があれば全て見ることができるでしょう。
宮廷内部を描いたようにみえます
|
|
良く見ると、門の内外では着ている服が違います
|
本堂の周り
礼拝堂の奥、50メートルほどのところには本堂があります。本道にいたるまでの間にも色々な石像が置かれているのですが、ナビの目に留まったのは女性の石像、現在は修復中のようでしたが何とトップレスです。タイ人スタッフに聞いたところ、数百年前のタイ人女性は腰には布を巻きますが上半身は裸だったとのこと。当時の男性が羨ましい気がします。
また本堂の入り口には中国風の石像が数多く置かれています。これはラマ3世が中国に渡り、帰国の際に舟を安定させるために船底に多くの石仏を積んできたとのことです。
本堂内
本堂構内はビル5階ほどに匹敵するくらい天井が高く、やはり礼拝堂と同じく全面壁画で被われています。また本堂の大仏は、大きさはそれほどでもありませんが目をつぶっているのが特徴です。大仏の足元には等身大の僧侶の人形が数多く並んでいます。まるで仏様が多くの門弟たちに教えを施している風景を再現しているように見えますね。
瓦に希望を書きます
本堂正面では、瓦に望みごとや願い事を記し賽銭とともに寺へ預けるコーナーが設置されています。金額は自由に箱に入れ、本堂、礼拝堂などの屋根瓦が古くなったとき、新しいこれらの瓦と入れ替えていくそうです。タイ人は家族の名前を書いたり、親友、恋人の名前を書く人が多いとか。寺院とともに生きてきたタイ人らしい発想です。
ラマ8世像
ラマ8世等身大像
境内の西の一角には等身大のラマ8世像があります。ラマ8世は現在の王様であるラマ9世の実兄にあたり、1946年、20歳の若さで崩御され、その遺骨が礼拝堂の大仏の台座に安置されているそうです。
入館料と注意書
最後になりましたが、ワットスタットに入館するには20バーツが必要です。入り口に入って右のチケットカウンターでお支払いください。なおタイ人は無料です。また入り口にスリ、ガイド詐欺、トゥクトゥク運転手などによる他の寺への案内などに関する注意書きが書かれています。非常に残念なことですが、現在でもタイの有名寺院、観光地にはこのようなトラブルが頻発していますので、是非ご注意ください。
ツーリストへの注意書き
|
|
こちらで入館料20バーツを御願いします
|
巨大なブランコ「サオ・チン・チャー」を正面に置く王室寺院ワットスタット。このお寺の周りには仏像を販売するお店が数多くあり、回り一帯が寺院関係のお店で占められています。通常の市内観光コースにはあまり含まれていないお寺ですが、タイ人では知らない人はいない、勿論有名なお寺です。自由な時間がある時に是非訪れてみてください。ラマ1世が作り、ラマ3世が運んだ石像が多く見られ、ラマ8世が眠るワットスタット。
以上バンコクナビでした。