バンコクの納涼スポット。洒落たディスプレイに何度も通いたくなる貝殻の博物館。
サワディーカップ バンコクナビです。
ナビの知人が長年の貝殻収集家で、その素晴らしさを熱く語るのを何度か耳にしたのですが、「そんな趣味もあるのか」程度の認識でした。そんな中、先日シーロム通りをブラブラしている途中で発見した「Bangkok Sea Shell Museum」。
「ふ~ん、貝殻の博物館なんてあるのか……」と、さほど深い興味を持つこともなく軽い気持ちで取材に訪れてみました。
場所はシーロム通り沿い、ソイ23入口
「Bangkok Sea Shell Museum」があるのは、BTSサラデーン駅のあるシーロム通りをひたすらチャオプラヤー川方面へ南下。高速道路と交差するのですが、そのすぐ手前、ソイ23の入口です。巻貝を模した小洒落た特徴ある外観です。BTSサラデーン駅から歩くと20~30分弱程度はかかりますが、タクシーに乗るのも微妙な距離。お天気次第ではちょうど良いお散歩スポットです。
ブルーが基調、涼しげでお洒落な館内
同博物館は全3階建。通りに面したエントランスをくぐるとブルーを基調にした、吹き抜けの1階展示フロア。程よく効いた空調とチケットカウンターを囲むように流れる水音で、それはもう涼しげな雰囲気です。
入場料はタイ人が100バーツ、外国人は200バーツとのこと。興味のない人でも時間つぶしに最適。デートスポットとしてもとってもロマンチックです。
プーケットの博物館とは姉妹関係
オーナーはタイ屈指の貝博士でTVのクイズ番組で2年連続の優勝経験者でもあるソムワン(Somwang Patamakanthin)さん、お父さんがプーケットの同「Phuket Seashell Museum」のオーナーでもあり、出演したクイズ番組の好評さもあって、
「バンコクの若い人にも貝や海洋の美しさ、奥深さを知って欲しい」との思いで、2009年1月に正式にオープン。Patamakanthinさん一家、同じく貝収集家のJomさん、ソムヌークさんらが中心となり、世界中から集めた約600種類、3000体以上の貝殻を一堂に展示した私設博物館です。
時間を忘れて惹き込まれる色とカタチ
かなり気軽に訪れたナビですが、一度観だしたらすっかり貝殻の魅力に惹き込まれ、2時間以上取材を忘れて見入ってしまいました。
印象的なのはまずその形。巻貝、ツノ貝、二枚貝などその細かな分類毎に展示されており大きさ、形、構造など見どころはたくさん。各展示には英語とタイ語の説明文と細かく番号を振られ、採取地、年代などまで事細かに解説。
さらに、同じ分類の貝でも様々な「色」を楽しむことができます。白いもの、淡いクリーム色のもの、鮮やかなピンク色のもの、目を疑うような緑色のものなど観ているだけでドキドキ。そのセンスあるディスプレイとあいまって、博物館というよりも宝石ギャラリーという趣です。
1階は大きな貝がメイン
エントランスからすぐに始まるのは巻貝や大きな貝の紹介。大小さまざま、色とりどりの巻貝が並びます。見どころは巨大な二枚貝「Giant Clam」。こちらに展示されている大きなものは幅約1.2メートル。とても1人では持てなそうなくらいの大きさです。
また、脇に展示されている「sea urchin」、ウニの仲間の色鮮やかさも注目です。普段は食べることばかりに目が行くナビですが、赤や緑、工芸品のような美しさを持つウニに脱帽です。
2階は色鮮やかな貝殻ギャラリー
階段を登り2階に目をやると、まず驚くのがその展示スタイル。どことなく船の中や深海をイメージさせる展示はその見た目だけでなく、きちんと種類毎に分類されています。
メインは二枚貝やオウム貝やホラ貝、アワビなど、少しお腹の空く展示内容です。酒蒸し、バター焼きが頭の隅をチラチラ。思わずヨダレが出そうになるのは日本人の悪い癖なのでしょう。
とはいえ、お馴染みの帆立貝だけでも赤、黄色、オレンジ、ピンクとこんなにも色鮮やかなのかと驚かされますし、潜水艦「ノーチラス号」でもお馴染み、生きた化石「オウム貝(Nautilus)」は立派な貝殻を持っていながらイカやタコの仲間に近いというのもビックリです。また日本で法螺貝を吹く人がいるように、世界中で貝は楽器として用いられている様子も学ぶことができます。
美しい飾りが施された貝笛
3階はさらに色鮮やか! 貝だと思ったら……
チュラポーン王女殿下の描かれた貝をモチーフにした絵画に出迎えられた3階で、まず目に入るのはアンモナイトの化石。高さ1メートルほどの岩の塊の中にアンモナイトがビッシリ、しかもキレイに磨かれています。モロッコで発見された350万年ほど前のものだそうです。
チュラポーン王女殿下が描かれた貝をモチーフにした絵画
しかし、このフロアで一番目を惹くのは赤や緑の毒々しいほどに鮮やかな巻貝の展示です。ナビは「すげ~」と思いながらその色ばかりに注目していたのですが、ふと説明文に目を向けると“snail”の文字。
「……………………カタツムリ!?」と時間差でビックリしてしまいました。日本で見かけるカタツムリは薄茶色でどうにも冴えないものばかりなのに、世界にはこんなに色鮮やかな貝殻を持つものも生息するのかと関心しきり。タイの名を冠した「Cyclophorus siamensis(タイ名:ホイホーム・サヤーム)」のかすかにピンクがかった澄んだ白い貝殻も印象的でした。
タイの名を冠した「Cyclophorus siamensis(タイ名:ホイホーム・サヤーム)」
他にも淡水に生息する貝や、スピード感溢れるヤリ貝、トゲトゲしいアッケ貝の仲間も展示されています。
何気に充実したお土産コーナー
貝を使ったランプ。ちなみに奥のハリセンボンのランプは1200バーツ
充実した展示に心打たれて、館内から出ると思わず目に留まるのがお土産コーナー。訪れた記念に何かしら欲しくなってしまう、心の隙間を絶妙に攻めてきます。ポロシャツやポストカード、電気スタンドや小物入れなどは館内に。通り沿いではビーチリゾートの屋台街さながらに、貝殻のセット、貝殻で作った風鈴やアクセサリー、人形など充実した品揃えで思わず手にとってしまいます。
そして、館内に展示されている色鮮やかな貝も相談すればかなりお手頃な値段で譲ってもらえるそうです。中には取引が国際的に禁じられている貝もあるので全ての貝が対象ではありませんが、気になったら交渉の価値アリです。
いかがでしたか? プライベートの博物館といえばもっと小ぢんまりした地味目のものが多いのが通常ですが、こちら「Bangkok Sea Shell Museum」はバンコクの大通りに面した一等地で、小粒ながらも迫力&充実の大掛かりなミュージアムです。
ナビも最初は貝殻にどれほどの価値があるのか懐疑的だったのですが、古くは通貨の替わりとして用いられることもあったのもうなずけるほどの魅力を感じないわけにはいかないほどに熱中してしまいました。
さらにお洒落な外観とブティックばりの内装と、海中散歩を思わせる涼しげで心地よく、初めて見る人にも分かりやすい展示は目を見張るものがあります。ナビが滞在した約2時間半の間、来館者が誰もいないのはどう考えても“モッタイナイ!”の一言に尽きます。
目から鱗(貝殻?)の海中散策スポット。夜のメインディッシュのアイデアも満載です。皆さんも是非とも訪れてみてください。
以上、バンコクナビがお伝えしました。