タイ式民家風のヴィラがならぶ“長屋横丁風リゾート”
サワディーカポン! バンコクナビです。
今日ご紹介する「リゾート・バンプラット」は一風変わったリゾートです。
リゾートと言えば、きれいなお部屋で何の不自由も無く、一歩外に出れば風光明媚な景色が広がり、食事も普段は味わえないような「非日常」的なものを想像しがちですが、「リゾート・バンプラット」は一味もふた味も違います。
宿泊するのは部屋ではなく「家」。それもタイの30年ほど昔の一般的な民家をイメージして建てられたもので、これが軒を連ねることで同リゾートを形作っています。
場所もバンコクの中心部から見て「川向こう」。ピンクラオの少し北側にあり、我々現地に在住する人でさえ普段は足を向けることのないエリアにあります。そのためバンコクにいながら、小旅行&タイムトリップ気分を味わうことができます。
チャランサニットウォン通りと言えば…
チャランサニットウォン通り
「リゾート・バンプラット」のあるバンプラット地区はバンコクの北西部に当たります。戦勝記念塔から西へ、ラーチャウィティ通りをひたすら真っ直ぐ進み、クルンテープ橋からチャオプラヤー川を越えます。そして最初にぶつかる大きな交差点を右折してチャランサニットウォン通りを北へ直進すること約500メートル。右手にテスコロータス・チャランサニットウォン店、左手にカルテックのガソリンスタンドが見えたらすぐ。チャランサニットウォン通りソイ77/1に入ると到着。というよりソイ全体がリゾートになっているような感じです。
ちなみに、あと1Kmほど進むと、タイにおける美容整形・性転換手術の最高峰として名高い「ヤンヒー病院」がありますので、「チャランサニットウォン」の発音が運転手に通じなくても「ロンバーン・ヤンヒー」と言えば運転手も理解しやすいはずです。
目印、テスコロータス・チャランサニットウォン店
|
|
辺りはローカルな雰囲気
|
ソイに入ると20台くらい駐車できそうな駐車場、中央の小道を挟んだイベントスペースを通り過ぎると(といっても20メートルくらいですが…)緑に囲まれたリゾートの入口です。
オープンしてちょうど1年、施設も程よく落ち着いてきたと言います。
中央の噴水(?)を挟んで右はテーブル席、左は座敷(?)席。どちらも頭上には緑が生い茂り、雨&虫除けのパラソルがかかっています。ちなみに、それぞれ思い思いに食事をしたり、読書をしたり自由に使うことができます。
これらに隣接するのがレセプション兼オフィス棟と向かい合うレストラン&コーヒーショップ棟、さらに奥には宿泊するお部屋ならぬ「家」が小道に向かい合うように立ち並び、雰囲気は長屋が立ち並ぶ路地のようで、どことなく生活感が漂い、ほかの宿泊者が“ご近所さん”のように感じられ、気軽に挨拶してしまいます。
そんなアットホームな雰囲気に、「このアイデアは思いつかないなぁ~」と感心するばかりです。
手作り感いっぱい、ワクワクする客室
さっそくお部屋を見せてもらうことに。
2階建ての客室(家屋)は全て同じ間取り。土足厳禁なので靴を脱いで玄関を入るとすぐにリビング、奥にもう1部屋とトイレ&シャワールーム。さらに一旦、外に出て(!)玄関脇の階段を登った2階には、椅子やテーブルが置かれた広めの踊り場と2つのお部屋。3Lの間取りで約60平米の家です。至極ありふれた木造のタイ(バンコク)式家屋とのことで、違いは「台所がないこと」だけだそう。
正直な話、かなり大雑把な造りで、床もフローリングと言うよりも「板張り」と呼ぶほうがしっくり来ますし、場所によっては板がささくれ立っていて靴下なんかを引っ掛けたら破いてしまいそうな場所もあり、建てつけもかなり甘く隙間があります。
しかも、窓を開けたらすぐに隣の塀。「こんなところまでリアルに再現しなくても…」と感じるほど実際の家屋の雰囲気に迫る思い切った造りです。
実際に利用者の評判を伺ったところ、いわゆる育ちのよいタイ人の方々の中には「わざわざお金を払ってこんなボロい家に泊まるなんて……」と言う人もいるそうですが概ね良好。
一風変わったリゾートだけに、TVや新聞、雑誌などの取材も多く、ナビが訪れたこの日もローカルケーブル局のクルーがカメラを回しているところでした。
バンコクでも既に目ざとい外国人の中には、バンコク都内で一味違ったリゾート体験ができることもあって、すでにリピーターも多いと言います。実際、西洋人にとっては靴を脱いで床に座る生活様式やアジア風の木造家屋が非常に好評なようです。
部屋タイプは2種類、ベッドは全てダブルベッド
前述の間取りの「ロッジ」とも「バンガロー」とも言いがたい「家」が全14棟。このうち、2棟はベッドルームをそれぞれの階に1部屋ずつ持つ「バーン・トンブリー(Baan Thonburi)」。9棟はベッドルームが2階に1つだけの「バーン・バンコク(Baan Bangkok)」。残りはマッサージ棟とスタジオ(レクレーション)棟という構成です。
それぞれ、2階に上がるには一度表に出て階段を登らなければならないのが不便でもあり、楽しくもありといった感じです。
★バーン・トンブリー(Baan Thonburi)
1階、2階それぞれにベッドルームを持つ「家」です。各ベッドルームにはエアコンがありますので寝苦しい思いをする心配は無用です。
★ 「バーン・バンコク(Baan Bangkok)」
ベッドルームは2階の表に面した部屋にあります。間取りは全棟同じなため、「バーントンブリー」に比べると殺風景な印象を受けます。
ファシリティ&アメニティ
リビングにはタイ風の木工細工でできたテーブルと椅子、さらに小さめの冷蔵庫とテレビが備わっています。TVの番組表を見る限り「NHKワールド」などはなく自前のパラボラで衛星放送を受信しているようで、あまり見慣れない番組が並んでいます。
少し不便に感じるのがクロゼット。2階にあるため、用がある毎に階段の上り下りが必要になりそうです。逆に2階で眠る人はトイレに行くのに毎回階段を降り、玄関から入り直す必要が…、この不便さがまた楽しいのかもしれませんね。
無料で利用できるWi-Fi、格安の冷蔵庫内のミニバー(アルコール類はなし)などは逆に好印象です。
バスルームは、シャワーとトイレ、洗面台が一緒になったタイでは一般的なものですが、シャワーヘッドはレインタイプで少しだけ高級感を演出? といった趣。
バスアメニティはシャワーキャップ、シャンプー、コンディショナー、ボディソープなど一通り揃っています。バスローブがあるのは「リゾート」っぽいですね。
お食事はレストランで
台所のない「家」に宿泊するのですから、食事がポイントになりそうです。併設の「サワディー・レストラン」はタイ料理をはじめちょっとした洋食などをかなりリーズナブルに楽しめます。
きちんと磁器の器で、盛り付けもキレイに提供されるのはかなり嬉しいところです。しかも、はっきり言って「見た目も味も合格点、しかも安い!」です。リーズナブルなどと飾る気も失せるくらいのお値段。グリーンカレー味のタイ風チャーハンはなんと50バーツ!ナビのオフィスのあるシーロムエリアではほとんどお目にかかることのない価格設定です。リゾートらしからぬ庶民的で肩肘張らないおもてなしが好感をもてます。
カウパット・ゲーンキアオ(グリーンカレーのタイ風炒飯)50バーツ、揚げ春巻き80バーツ
ちなみにこちら「リゾートバンプラット」のオーナーは敬虔なイスラム教徒ということもあり、料理には豚肉を使用したものはありません。鶏・牛肉、またはシーフードからチョイスします。また、同じ理由でアルコール類の販売は行っていません。
お酒を自分で持ち込んで飲むことは可能ですし、大通りを出てすぐにローカルの雑貨屋さんやコンビニもありますので、そこから調達するのが無難なようです。
朝食はタイ風のおかゆなどのメニューやABFなどの洋食からアラカルトでオーダーすることになります。
リゾート内は思い思いに自由に過ごそう
最初はレストランで食事の予定でしたが、見下ろした先に見える座敷席が緑いっぱいで気持ち良さそうだったので急遽変更。3つのテーブル席の合間にタイではおなじみ三角クッションが置かれ、床に寝転んだり、座ったりと自由に寛げます。
この日は雨季に入ったにもかかわらず、予想外の「カンカン照り」。扇風機のお世話になりつつ風に揺れる緑に囲まれての食事は、どことなくピクニック気分で気分上々でした。
リゾート内にはマッサージ・ルームもあります。セラピストさんは外部からやってくるため事前に予約が必要です。お値段はタイマッサージが1時間250バーツ、オイルマッサージは1時間500バーツとのこと。ちなみに各お部屋でマッサージを受けることも可能だそうです。
記念撮影コーナー?
「スタジオ」と呼ばれるスペースにはタイ風の衣装や小物が揃っており自由に着用してリゾート内で記念撮影を楽しむこともできます。
リゾート周辺を散策?
リゾート周辺、チャランサニットウォン通りは見事なまでの「どローカル」ぶり。歩いて行ける範囲には観光スポットのようなものはありませんが、少し南に下りクルンテープ橋界隈に出れば、リバーサイドのパブやレストランなどもありますし、ピンクラオまで出れば、これまた一味違うバンコクを味わえます。
ふらっと田舎へ小旅行気分で出かけよう!
「リゾート」と聞くと至れり尽くせりでお大臣様気分を味わえるのが醍醐味といったイメージですが、ここ「リゾート・バンプラット」は逆に何かと不便だったり、細部の造り込みが微妙だったりと、ありきたりな「リゾート」を求める人には厳しいかもしれません。前述のように、育ちのよいハイソ系タイ人にはあまり評判が良くないのも頷けます。
ですが、迫り来る不便さや手間を笑って楽しめる人には、タイの下町風情をお手軽に楽しめてしまう上に、アットホームなスタッフの方々や、文字通りご近所の方々との身近なお付き合いをも体験できます。
ありきたりのバンコク滞在に飽きた人や週末に気分転換はしたいけれど遠出はチョット無理という方で、ちょっとした不便さや笑って、
「こまけぇこたぁ、気にしねぇ!」
と言えるチャキチャキな方には想像以上に楽しめる場所です。
長期滞在している方は暇を見て小旅行気分で覗きに行ってみてはいかがでしょう。木陰に座って食事をするだけでも充分に雰囲気を楽しめます。ついでにお部屋も見て、ご自分の目で判断してみるのもいいかもしれませんね。
以上、バンコクナビがお伝えしました。