タイ料理の老舗がシーフードメニューでリニューアル。『百聞は1食にしかず』、タイ料理の真髄を舌に乗せて見てください。
サワッディーカー、バンコクナビです。タイ人ならばその名を知らぬ者はいないという、歴代の首相など各界のビッグネームを顧客に持つタイ料理の老舗『オーム・トーン』。今回その『オーム・トーン』が、シーフード料理を中心にメニューをリニューアルしたと聞いて、早速お邪魔してきました。新鮮なシーフードこそ、豪快にでなく手間をかけてしっとりと品よくいただくに値する、という優雅さをとくと味わってみてください。
【外観】 - ゴールドで縁取りされた、タイ風の尖った屋根が目印の『オーム・トーン』。押さえられた色調の、控えめな佇まいです。
【内装】 - 1階には18テーブルが、真っ白で糊のきいたクロス、王冠のかたちのナプキンという、正統派のテーブルメイクで並んでいます。2階席は15名程度のパーティーにぴったりの広さ。お店の名前になっている『オーム・トーン』とは、樹木の一種。『オーム』は“集める”『トーン』は“黄金”という縁起のよい名前であることと、実際の木がどんな環境下でも育ちやすい種であるということから、どんな人にも受け入れられるお店に…という願いを込めて名づけられました。シンプルで奇をてらわない、王道をゆくお店の雰囲気は、料理に自信があってこそのもの。
入り口すぐ右手には、2分されてなお天井まで届く高さの木製の船が、『オーム・トーン』のシンボルとして飾られています。これがただの船であるわけがなく、樹齢500年以上、おとな5人が手を繋いでやっと届く太さのチークの巨木の一本木からけずり出したものなのだそうです。古きに学んでこそ新しい考えが生まれる、というわけですね!
『オーム・トーン』の歴史を、オーナーのナートさんに伺いました。創業は、1984年。今年で23年目を迎えます。『外食は家で食べるよりも、味も質も良くなくてはいけない』という、これぞレストランの基本というシンプルな信念を突き詰めた結果、タイ人の間で知らない者はいないという老舗の地位を守り続ける結果となりました。自らタイ全土を食べ歩き、【シェルチュワンチム】というガイドブックを編纂したタナシー氏の絶賛を受けた話もよく知られています。タイ国内外の歴代の首相や政治家の顧客も多く、国を動かす要人たちの舌をことごとく満足させてきた、『オーム・トーン』の味なのです。2年前には、ナートさんの名前を冠したタイ料理レストラン『ナート』もオープン、新たな歴史をかたち作っています。
■ メニュー
【新鮮な食材】【ハーブ】【スパイス】という3種の神器が、腕のいい調理人にかかって生まれた料理のご紹介です。
★ 豚のスペアリブ、ココナッツカレーソースがけ 220B
こってりしたソースがたっぷりかかっていて見るからに食欲をそそる一品。豚のリブ肉は柔らかくて骨からするするっと肉が剥がれてきます。肉自体にもほんのりと味付けがされていて、ココナッツミルクをたっぷり使った香りがいい甘めのカレーソースを楽しんでいると、しだいに肉からの味が染み出てきてきます。ソースだけでもおいしいけれどそれが肉の旨みを邪魔せずに上手く調和しているところがさすがです。
★ 鶏のバイトゥーイ包み揚げ 150B
ピンポン球大の鶏肉をバイトゥーイという葉に包んで揚げてある為、葉の香りがほのかにして油っこさを抑えています。ややしっかり目に火がとおって歯ごたえもありますが、鶏肉自体がよくしまっている感じ。肉の味を邪魔しない程度の味付けがされて鶏肉の風味が生きています。黒いタレが一緒に出てきますが、こちらはゴマやしょう油などを混ぜて作った甘いタレで日本の甘味噌みたいな感じ。これをつけるとまったく違ったものになっちゃいます。ナビはそのままの方が好きだけど、ためしに付けて食べてみて。
★ 四角豆(トゥアプー)のエビ入りサラダ 120B
四角豆は日本では見慣れない野菜ですが、見た目はサヤインゲンにひれがついた感じで熱帯アジアに分布し、味はくせがなく食べやすい豆です。これに13種類ものスパイスや調味料を加えて作ります。この日はスタッフがナビの目の前で作ってくれました。これだけたくさんの材料を入れて複雑に味が混在するのに何故か味が上手くまとまるのはいつもながらタイ料理のミステリーです。ネギのから揚げやナムプリックパオ(すり潰した唐辛子を油で炒めたもの)、ピーナッツがとても香ばしく、マナオ(ライムの絞ったもの)やネギが爽やかさをだし、ココナッツクリームがまろやかに全体をまとめる感じです。唐辛子の量を調整できるから辛さのリクエストも可能ですよ。食べやすいサラダなのでぜひトライしてみて!
★ 川海老の炭火焼(グン・メー・ナーム・パオ) 1匹780バーツ
ロブスターではなく天然の川海老で、この大きさは本当に希少。特に「エビみそ」を味わって欲しいというナートさんの言葉は、海鮮類の魅力を知り尽くした人のもの。炭火焼でじっくりあぶられたエビのひきしまった身と、とろとろとコクのあるエビみその
★ 海老のスパイシーハーブスープ(トムヤムクン) 220バーツ
『オーム・トーン』の料理が、外国人向けにアレンジされていないのは、“タイ風”に固執しているのではなく、ひとえに美味しさを追求した結果。『オーム・トーン』のトムヤムクンは、辛さもココナツミルクの量も媚びなくたっぷり。特に他店のものとは違う、とはっきり言える点は、隠し味にコクの代名詞「エビみそ」を溶かし込んでいるところ。ひとくちこっくりと飲んだ後、にんにくやハーブを揚げてつぶし、さらにじっくり炒めて作る調味料「ナムプリックパオ」の香りが時間差で追いかけてきます。
★ カニのカレー炒め卵とじ(プー・パッ・ポン・カリー) 780バーツ
甘い身がぎっしり詰まったカニと、カレーの香り、それを優しく包み込むたまごの三重奏。カニを最高に柔らかく、カレーを最高に香ばしく、たまごを最高にふわふわの状態に、と、それぞれの食材が最高に美味しくポイントをぴったりと合わせる炒め加減の妙は尊敬に値します。一緒に炒められた玉ねぎとピーマン、赤パプリカの柔らかくなりすぎる一歩手前の歯ごたえも絶妙。
★ プラー・ヒマ・ヌン・シィーウ 480バーツ
日本からの直輸入した白身魚の蒸し物。醤油ベースの煮汁には、白身魚のあぶらの上品な旨みが溶け出してナビの舌と心はめろめろ。ほろりと崩れる魚の身といっしょに、ナビのほっぺたもほろりと崩れおちそうでした。
細かく刻んだ生姜やねぎが優秀な黒子のように白身魚の淡白さをカバー。付け合せに、熱を通したムラサキ芋が添えられています。
★ ホイ・シェル・ヤーン・グラパオ・ゴープ 1個100~120バーツ(サイズによります)
大きな大きな帆立に、ぱりりと揚げたバジルを載せています。たてに並んだ帆立の繊維を歯でほぐすときの感触と、同時に舌から口中にじわっとひろがる、海の全ての旨みを凝縮したとしか思えない風味。あぁ、シーフード最高!と思わずにはいられません。
★ 魚のカレー・オームトン風 150B
こちら結構辛いので覚悟してくださいね!カレーにはほぐした魚の身と竹の子とサトーと言う南部のちょっと臭い豆が入ってて白いご飯にかけていただきます。カレーは黒胡椒がふんだんに使われててそれがすごく印象的。辛さと胡椒のスパイシーがあわさると爽やかな辛さになるんですね~。とはいえやっぱり辛いのでその為に生野菜がどっさりと付いて来るんです。タイ人は辛いものを生野菜と一緒に食べて辛さを抑えるんです。辛いんだけど他のハーブや魚のエキスで何故かあとをひきます。このあとの料理は割と甘いものが多かったので、余計にこういった辛い料理がアクセントになってそれぞれの料理を引き立てあうんだとナビは勉強になりました。この日ナビは他の料理を食べてはこのカレーに戻ってきて「辛~い」って言ってました(笑)。
★ 海老のガーリック風味揚げ 480B
海老を素揚げしたものにガーリックが乗せられています。旨みの代名詞であるにんにくを焦げる寸前まで油に通して、香りとこうばしさを最大限にひき出しています。ぷりぷりの海老と、もはや旨みの化身となったニンニクが舌の上で踊ります。
★ タイ風焼きそば 120B
ご存知、庶民食であるタイ風焼きそばパッタイも、オーム・トーンにかかればこんなに上品な料理に。パッタイに使われる米状の麺は油をよく吸うため、パッタイは油っこくギトギトしてしまうことが多いのですが、このパッタイは油っこさとは無縁のもちもち感。付け合せののもやしの頭とひげがきちんとカットされているところに、調理人のこだわりを見ました。
★ ホイトート 380B
牡蠣を、米粉でつくった生地に絡ませて揚げ焼きにしたもの。熱い鉄板に乗って出てきます。街角の屋台でも売られている、いわゆる“タイのお好み焼き”ですが、ここのホイトートは、生地はパリパリ、牡蠣のぷりぷり。素材の新鮮さと調理の腕前が一体となって庶民派感覚を吹き飛ばし、立派な高級料理に。甘酸っぱい特製チリソースでどうぞ。
★ プラーサームロット(白身魚の3味) 380B・780B
白身魚をからりとフライにして、「甘い」「酸っぱい」「辛い」を網羅したソースをかけます。上に散らされているのはホーリーバジルを素揚げにしたものですが、葉っぱの形をそのままにこんなにキレイに揚がっているのは珍しいです。外はさっくり、中はふんわり揚がった白身魚にタレが絡んで絶品。写真は380バーツのものです。
いかがでしたか?
活きの良いシーフードを上品にいただける『オーム・トーン』。「タイ料理の真髄とは何ぞや」。その答えは人の口からではなく、正解となる料理を味わった自分の口から直接聞きたい。見て感動・食べて納得の『オーム・トーン』のお皿の数々は、ナビをそんな気持ちにさせてくれました。
以上バンコクナビがお伝えしました。
【行き方】 - 『オーム・トーン』は、BTSスカイトレインの駅から徒歩5分といううれしい立地。【プロンポン】駅の5番出口を出て、スクンビット通り33番路地に入って下さい。ノボテルロータスホテルの前を通りすぎ、200メートルほど歩いたところでお店の看板が見えてきます。看板には、日本語で『オーム・トーン』と書かれていて分かりやすい!