豪快なアメリカン・ステーキをバンコクで
サワディーカポン! バンコクナビです。“ビフテキ”と聞けば心躍るのはナビだけでしょうか? 幼心にご馳走の代名詞とも言える響きは、いい歳した今でも胸高鳴る響きです。日本人にとって最高のステーキと言えば、『熟成した霜降り黒毛和牛を最高の技術で加熱し、口に入れた瞬間に赤身と脂身が舌の上でとろける』ものというイメージの方が大半かと思いますが、今日ご紹介する「チョークチャイ・プライム・ステーキハウス」、以下「チョークチャイ・ステーキ」はある意味その対極。よくアメリカのステーキを称して「草履のような大きさ」とか、「硬くて噛み切れない。靴底か?」などと揶揄することがあります。実際にそこまでとはもちろん言いませんが、「チョークチャイ・ステーキ」はまさにアメリカンスタイルのステーキハウス。タイのステーキ事情を象徴するお店です。
今日お邪魔したのはアソーク店
スクムビット通りソイ23をシーナカリンウィロート大学方面にズンズン進み、ソイ31方面に抜けるT字路を過ぎ、左手にサービスアパート「シタディンスクムビット23」が見えてすぐに最初の交差点にぶつかります。ここはアソーク通りへ抜ける道でもあり、アソーク通りでも有数のオフィスビル「シノタイ・タワー」の脇へ抜ける道です。その角に建つ「プラサンミット・プラザ」の1階が「チョークチャイ・ステーキ」です。
店内はひたすらカントリースタイル。薄明るい店内にはカントリー・ナンバーが流れ、照明は西部劇を思い起こすようなデザイン。また、馬車の幌をイメージさせるパーテーション(?)など徹底的に凝っており、まさにアメリカの片田舎のステーキハウスのイメージ。
超ド級と呼んでも足りないボリューム
さっそく、オススメ「
T-BONE STAKE Sr.(シニア) 420B+」が運ばれてきましたが、見た瞬間に撃沈。超ド級にもほどがあります。胃袋の容量、耐久度ともにそこそこの自信があり、出される皿は常に完食することがモットーのナビですが、ジュウジュウと焼ける巨大なお皿(お肉だけで500g!)に圧倒されっぱなし。お味は学生時代にアメリカの片田舎で食べたステーキのお味。サーロインとヒレ、両方のお肉を楽しめるのがT-BONEステーキの嬉しいところですが、臭みも無く、味がしっかりしています。一般的にタイのスーパーで買う牛肉は、やや癖というか臭みがあって、独特の味なのですが、ここ「チョークチャイ・ステーキ」のそれはもう1レベル上。バンコクから北へ数時間、東北部への入口ともいえる「パクチョン」という町にある専用の牧場で育った牛のお肉だそう。精肉から出荷まで徹底的に管理された「チョークチャイ」のお肉が一般の牛肉と違うのもう頷けます。そんなこだわりの牛肉をふんだんに使用したステーキですが、このボリュームは、お肉をいただくと言うよりもお肉に“挑む”と言ったほうが正解でしょう。
しかしまだまだ序の口、次は「CHOKCHAI PREMIUM T-BONE STAKE Jr.(ジュニア) 650B+」。
何が「プレミアム」かって? サイズではなく熟成具合です。前述の無印T-BONEは熟成が15日間なのに対して、PREMIUMと冠するこちらは30日間の熟成期間を経たお肉。柔らかさが増していて、ナイフの通りも良く、日本人の口にはこちらの方が合いそうです。が、しかし、全然“Jr.(ジュニア)”じゃありません!大学3年生でようやくジュニアと呼ばれるアメリカですから、これが普通なのでしょう。
ステーキにはそれぞれグラッセやベイクドポテトが付きますが、サイドを食べ過ぎるとメインのお肉が余計に食べられなくなってしまいますのでご注意を。ソースはグレイビー・ペッパー・マッシュルーム・カフェドパリスの4種類。また、アメリカンな気分を更に盛り上げたい方には定番「A1 ステーキソース」もリクエストできます。
一番のオススメ、ハイランドステーキ
ナビが個人的に一番日本人好みだと思ったのは「
CHOKCHAI HIGHLAND STEAK 290B+」。
250gと小ぶりのステーキに刻んだ唐辛子とレモングラス、パプリカが乗せられて、彩りも鮮やか。ステーキは脂身の少ないパサパサした感じなのですが、乗せられたハーブと特製のタイ風ピリ辛ソースで味わうと絶品です。特製「ホット & スパイシーソース」はタイの東北料理の中でも使われる、付けタレに良く似た、甘みと酸味のバランスの取れた洗練されていて、日本人の口にもピッタリのお味。
さらにうれしいのがタイのもち米「カウニヤオ」が付いてくる所。東南アジアの雰囲気が満載のタイ風ステーキといった趣です。次回、日本から「ステーキが食べたい」というお客さんがいたら勧めようと思ったナビでした。
メインディッシュとして最後に出されたのは「
CHOKCHAI BEEF KEBAB 260B+」。
長い串に自慢のお肉とピーマンやタマネギ、トマトなどの野菜、パイナップルが交互に刺さった豪快な一皿です。ちなみに1皿に2本の串が乗っています。パイナップルやトマトの酸味のおかげでしょうか、お肉も柔らかく焼きあがって、微妙な酸味がまたいい感じに仕上がっています。
今回はビーフをメインにお伝えしましたがメニューには鶏・豚・ラムなどもあり、好みや宗教などに合わせて、またパスタやハンバーガー、ソーセージなど、その時の気分に合わせて様々な料理をチョイスできます。
最後は定評のあるアイスで締め
もともとタイで「チョークチャイ」と言えば乳製品の生産者、「チョークチャイ牧場」として有名です。そのため日本人の間でもチョークチャイ牧場のアイスと言えばそれなりの地位を誇っています。そのアイスをデザートとして頂けるのがこのお店の嬉しいところ。今回はフルーツをトッピングした「
Ultimate Vanilla 85B+」をいただきました。写真的にはキレイなのですが、単品で味わっても美味しいアイスだけに、フルーツやシロップの味は余計でした。失敗です。オーダーの際にはアイスのみにしましょう!
こちらのお店、それほど宣伝したりはしていないのですが、タイ人の間でももちろん、西洋人や日本人にも知られていて夕食時になると引っ切り無しにお客さんが入ってきます。それも家族連れやカップル、はたまたフラリと現れたリタイヤ組と思しき西洋人男性など客層は多彩。2階席も合わせると100席近くもあるシートですが、週末は一杯になるので1時間くらい前までに予約をするのがベターとのことです。
さて、今回はこのまとめが最大の難関
一般的な日本人がイメージするステーキとは大きくかけ離れた、まさに本場アメリカの庶民が食べるステーキをイメージして頂きたいのですが……、難しいですよね。日本の牛のように穀物飼料をたくさん食べさせて、あまり筋肉を付けさせないように育て、身体中に脂肪が蓄積された「国産高級霜降り黒毛和牛」が好きな方にはチョットお勧めできませんが、「噛みしめるとあふれ出る肉汁が好きな人」や、とにもかくにも「胃袋の限界に挑みたい人」にはピッタリのお店です。また「HighLand Stake」のように独創性あふれるお皿も魅力的。日本で牛肉が食べられるようになって100年というところでしょうか、タイでは現在でも様々な理由で牛肉を食べない人も多いのが実情。お肉としては鶏や豚よりもマイナーな存在です。だから、日本人の価値観から見ればストライクゾーン外かもしれませんが、食に貴賎無く、ありのままの姿を何でも美味しくいただける自信のある方には、是非とも「タイの畜産業の“等身大の”努力の結晶」として正当に評価して欲しいと思います。以上、「チョークチャイ・プライム・ステーキハウス」からバンコクナビがお伝えしました。