心も温まる本格コーヒーをバンコクで
サワディーカップ バンコクナビです。
トンロー通りの入口に程近い、分かりやすい場所にある喫茶店「カフェ・シンフォニー」。
オーナーの星さんは、「この場所を見つけるのに時間が掛かった」と言います。
以前からタイ北部の山岳民族を支援する活動に協力していたオーナーの星(ほし)さんが、タイ北部で生産されるコーヒー「ドイトゥン」と出会ったのがそもそもの始まり。
幼少のころからコーヒーを愛飲してきたオーナーの星さん。会社経営の傍ら山岳民族の支援をしてきましたが、ドイトゥン・コーヒーとの出会いで「好きなコーヒーを活かして、山岳民族の暮らしを支えたい」との思いが産まれ、長い準備期間を経て2007年末に「カフェ・シンフォニー」をオープンさせました。
ドイトゥン・コーヒーとは
タイを代表するコーヒーブランドとなった「ドイトゥン」はタイ北部の地名でもあり、プミポン国王陛下の母君であるシーナカリンタラー王太后がタイ北部の山岳民族の支援のために設立された「メー・ファー・ルアン財団」が発足させた「ドイトゥン開発プロジェクト」から生まれた王室プロジェクトの1つです。
タイ・ラオス・ミャンマーの山深い国境エリアは、古くはゴールデン・トライアングルと呼ばれヘロインの原料となる芥子の栽培が盛んに行われている場所でした。これに心を痛めた王太后殿下が1988年に発足させた同プロジェクトにおいて、芥子に替わる作物としてコーヒーなどの収益性の高い作物の栽培を広め、産まれたのが「ドイトゥン・コーヒー」です。
カフェ・シンフォニーのこだわり
コーヒーの味を左右する要素として豆の新鮮さ、保存状態、ブレンド、焙煎、淹れ方など様々なものがあるのは皆さん周知の通り。
ここ「カフェ・シンフォニー」は日本人が経営するだけあって、その要素全てにおいて細やかに気を使われているのは当然。さらに、やはり豆の新鮮さから来るのでしょう、香ばしく鼻をくすぐる強烈なドイトゥン・コーヒーの香りが特に印象的です。ドリッパーに注ぐお湯の最初の一滴が巻き起こす香りは、「これぞコーヒー!」と言うべきものです。
浅炒り、深炒りお構いなくエスプレッソ・マシンで抽出したり、アメリカのコンビニのコーヒーのように「熱くて苦ければいい」と言わんばかりに無造作に出されるタイのコーヒーショップに一言物申したいと常々思っていたナビにはまさに救いの一杯。鼻炎もちのナビの鼻さえも咲かせてしまう劇的な香りと、程よい苦味、そしてコクのまさに「交響曲(シンフォニー)」。在住者の高い評価も頷けます。
ブレンドの妙が冴える、香り豊かなシンフォニーブレンドは85B
在住者も旅行者でも安心して入れるスタイル
午前中の仕事がひと段落してから、ブランチに、ランチ、おやつ時にと流れるようにお客さんがやってきます。日本人経営なので日本人のお客さんに愛されるのは当然のこと、外国人のお客さんもチラホラ。バンコクならではの光景です。
同店のシンボル「シンフォニー・ブレンド(85B)」にピッタリの人気メニューはもちろん手作りスイーツ。シットリとした「チーズケーキ(50B)は程よい甘さで、コーヒーが一層引き立ちます。同じく「カスタードプリン(50B)」も玉子の香りとコク、カラメルソースの程よい苦味が絶妙です。
落ち着いた店内と抑えられた照明の中で味わえば、気分は日本の住宅街の一角にある「喫茶店」のそれ。ナビが若いころ毎日通った喫茶店の記憶が蘇るようです。
お食事メニューも充実
カレーライス 170B その他にカツカレー 230B、ベジタブルカレー、コロッケカレー 220Bなど
お店が忙しくなるのはやはりお昼時。「カフェ・シンフォニー」はコーヒーだけでなく、フードメニューも人気のひとつです。
パスタやサンドウィッチなどの定番メニューもさることながら、一番人気はカレーライス。それもそのはず、まる2日かけて鶏と豚からとったフォンがなんともいえないコクと旨みを醸し出し、最後まで飽きさせないお味。日本人お得意のきめ細かにこだわった料理は是非ともトライして頂きたいです。
そして夕方以降は晩酌タイム。軽く1杯、しっかり夕食。どんなシチュエーションにもきっちり対応できる幅広いメニューと酒呑みの好みをしっかり押さえた店構えはまさに日本。嬉しくなってきます。
1杯のコーヒーから広がる「輪」
我々が何気なく頼む1杯のコーヒーが、はるかタイ北部「ドイトゥン」で大切にコーヒーを育ててくれている山岳民族の暮らしに役立っていると思うと、不思議と心温まるような気持ちになります。
かく言うナビもドイトゥンコーヒーの存在は知っていましたが、その詳しい生い立ちや支援する人の想いにはそれほど関心がなかったのが正直なところです。しかし、今回の取材でそれらに触れ、改めて現代の都市部と農村部の関係や「食」のあり方について考える良い機会になりました。
ドイトゥンの美味しいコーヒーがナビの元気の源になり、その売り上げがまた次の収穫に(少しは)役立つと思えば、「今飲んでいるこの一杯が次の一杯に繋がっている」。そして、一人ひとりの思いが「カフェ・シンフォニー」を中心にまるで「交響曲」のように複雑に調和しながら大きな1つの“優しさ”を創り出せたら、どんなに素敵だろう。
そんな思いに駆られた、今回の取材でした。
以上、バンコクナビがお伝えしました。